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綿本ヨーガスタジオ提供 YOGA.jp - ヨガ・瞑想を知るホームページ

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与えること

 

暮らしの中のヨガ哲学

日本では恐らく肌寒い日が続いているものと思われますが、風邪などひかれていませんでしょうか。

意味深な書き出しでしたが、私はいま、アメリカ西海岸のとある街でYoga修行を行っていまして、南西部とはいえ12月も暮れようとするこの頃はかなり肌寒く、とりわけ朝夕のビーチは風も強くて身体が少しこわばってしまうほどです。

ただ、お気に入りのスタジオがビーチ沿いを歩いて20分のところにあるため、ほぼ毎日歩いて往復しているのですが、さすがは西海岸。広々とした水平線に、まったりと沈んでいく夕陽を見ていますと、月並みですが、地球の大きさ、そして自分という存在のちっぽけさを思い知り、そのちっぽけな自分と大きな地球を感じながら、陽が沈むまでぼぉーっとしたりしています。


そんな水平線に沈み行く大きな夕陽を見ていますと、改めてハッと気づいたことがありました。


大したことではないのですが、私から見ますと、砂浜の上に海があり、海のすぐ上に太陽があり、その上には大空が広がっていてぴゅうぴゅう風が吹き、さらに上を見上げるとすでに暗くなり始めた夜空が。


インド哲学で宇宙を構成する要素である「地」「水」「火」「風」「空」が、目の前にドンと広がっていることに気づいたのでした。


うわぁ。。。


もっと気の利いたコメントはないのかと思われるでしょうが、言葉にする必要もなく、ただ何となく古人の感覚とつながった気がして、そのままくしゃみが出るまでぼぉーっとその場で砂浜に体育座りをし続ける綿本でした。。。


そんな景色の中で思うのは、私たちは紛れもなく地球に住んでいて、その地球や太陽からとてつもない恩恵を受け取りながら生きているということです。

それがあまりに当たり前すぎて、私たちはそれらを当然のごとく受け取り、貪り、そして逆に地球を傷つけてしまっています。

奪ってばかりいる私たち。。。


そんなことを考えている矢先、ちょうど行き着けのスタジオで、time to give と書かれたハガキが設置されているのに気づきました。


与える時です


何て素敵な言葉でしょう。

私たちは、地球から様々な恩恵を受け取るだけでなく、そろそろ足並みを揃えて何かを返していくべきときが来ているのではないでしょうか。


と、そのハガキの裏をよく見てみると、クリスマス向けの商品券の広告だったのですが。。汗。。


気を取り直しまして。

遅まきながら今月のテーマ「与えること」と題して、主に「地球に対して与えること」について考えてみたいと思いますが、あまりにスケールの大きな話しなので、まずはもう少し小さな対象「社会」との関係について見ていきたいと思います。


私たちは、社会に出たとき、つまり社会人になったあたりから、直接的、間接的に関わらず、社会に対して与え、そして受け取っています。

社会の中では多くの場合、まず与え、その対価として多くの場合お金を受け取ります。そのお金を使って、逆に社会から何かしらの恩恵を受け取っています。

このように、お金は社会との Give&Take を仲介してくれているのですが、結果として、与えてもらうことに対する感謝、そして何かをお返ししているという気持ちが希薄になっているのも事実。


与えているのではなく稼いでいる。自分で稼いだお金だから、その金で商品やサービスを購入できるのは当然の権利と。。。


確かに、必ずしも、何かをしてもらったその人に対してのみ、恩返しをする必要はないのかも知れません。親にしてもらったことを子にして返すように、Jターンのように別のところへ返すのも Give&Take。ただ、それが横行しすぎて、受け取ることの有り難さ、気持ちで返すことの大切さを忘れてしまっている気もします。

言い換えると「当たり前」という感覚が、与え、そして受け取るという大切な感覚を薄めてしまっているのではないでしょうか。


そういった中で、人と人との関係も同じように、してもらって当たり前。むしろ人から何かを奪ったり、競い合って奪い合ったり、傷つけたりするほどの始末。。。


私たちはそういった取り組み方を長年続けてきて、そろそろ様々な関係において頭打ちの状態、つまり関係が限界が来ているような気がします。改めて、受け取れることの有り難さに気づき、そして何かをして返すことの大切さを再確認する時期、つまり「受け取ること」と「与えること」のバランスを見直す時期が来ていると言えるかも知れません。


とりわけ地球との関係。。。


私たちは地球から、とてつもなく大きなものを受け取っています。


私たちは、どこまでその受け取っているという感覚を取り戻し、その受け取ったことに対して感謝することができるでしょうか。


他でもない、私自身忘れやすいからこそ、ここで忘れないように書きとどめているのですが、私たちは間違いなく地球から計り知れないほど多くの恩恵を受けています。


私たちは地球に対して何か与えることができているでしょうか。。。


砂浜でポツンと座って海を眺めていると、それはもう人間のちっぽけさを痛感します。

ただ、だからといってその一人に何もできることがないという訳ではないはずです。

一人ひとりの集まりが、何千年もかけて蝕んできた結果が今の地球。


そろそろ地球との関係性が尽きてきているのは目に見えています。


もちろん、与えるだけでは私たちは生きてはいけません。

必ず何かしらを受け取らないとことには、私たちは命を繋いでいくことができません。

だからこれからも受け取り続けていくのでしょうが、だからこそ逆に、何か地球に対して、何十億という集まりの単位でもって、これから何十年も、何百年もかけて、与えること、返していくという姿勢を示すべき時期に来ている気がします。


Time to Give ….


クリスマス商品券のキャッチではありましたが、何か私たちにできること、地球に、そこまで行かなくても社会に、そして家族に。。。


そんな何かが見つけられるといいですね。


2008年の終わりに、地球の割と裏側のあたりから感謝の気持ちを込めて、徒然なるままに書き綴ってみました。


よいお年をお迎えください!


OM Shanti PEACE!


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