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綿本ヨーガスタジオ提供 YOGA.jp - ヨガ・瞑想を知るホームページ

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月を指せば指を認む

 

暮らしの中のヨガ哲学

すっかりと秋らしい季節になりました。

もういくつか寝ると秋のど真ん中 「中秋の名月」 を拝むことができる十五夜ですね。

そんな月にちなんで、そしてヨガフェスタ直後ということもあり、今回は仏教用語である 「指月」 をテーマに、色々と書き連ねていきたいと思います。


指と月とヨガフェスタ。


よく分からない関係ですが、実は今日、某男性ボディメイクT誌からフェスタについての取材がありまして、その中の質問に「ヨガフェスタの意義」という項目がありました。

今回で第6回目を迎えたヨガフェスタですが、そもそもはと言いますと、IYCのケン先生とヨガワークスの兄と私とで、日本のYOGAを盛り上げようと意気投合して生まれたもの。

その意義のひとつに「自分に合ったスタイルを見つけてもらう」というものがありました。

せっかく様々な素晴らしいスタイルのYOGAが受けられる時代なのに、それと出会わないまま「私にYOGAは合わない」とやめてしまうのはもったいない。

ということで、様々なスタイルが一堂に会するイベントを開催しようということで生まれた訳でした。


ただ、くせ者なのが、この 「スタイル」 という考え方。

この言葉が行き交う以前は、私なんかは単に 「ヨーガ」 としてクラスを担当していて、そのうち 「綿本さんのところは何YOGA?」 なんて聞かれるようになり、「いや普通のYOGAなんだけど。。。その。。」と答えに戸惑った時期が訪れたわけです。


結論から言いますと、私はいまだに 「スタイル」 なんてのはどうでもいい、と思っていたりします。それはあくまでも、何となくアプローチの仕方をイメージしやすくするだけの言葉であり、本当は先生の数だけ、否、実践者の数だけスタイルがあっていいと思っています。


実際、私のトレーニングの冒頭では必ず「私はこれから、自分が持っているすべての情報をお話しします。でも、それらがすべて正しいと思ったり、鵜呑みにしたりとかしないようにしてください。」とお伝えします。

「綿本のスタイルは、こうでなくてはならない」という限定的な捉え方をして欲しくないからです。


ヨーガというのは、平たく言えば「理想的な状態に至るための方法論」のこと。


そこに至るために、ただ坐ってみたり、背骨の中のエネルギーの通りを良くしてみたり、あるいは奉仕活動を行ったり、神様にお祈りしたり、哲学書を読んでみたり、様々なアプローチがあり、そのすべてがヨーガなのです。

そんな訳だから、ヨーガというものはあらゆる考えやテクニックを吸収し、無限に進化していく可能性を持っているのです。


にも関わらず、私たちが、そのアプローチ方法を細かく分類して、名前をつけることで、ここはこうしなくてはいけない、このスタイルではこういうルールがあるといった、妙な制約なんかが出てきてしまい、それが本来のヨーガの目的をぼやけさせる一因になっている気がしなくもありません。


月を指せば指を認む


これは有名な仏典の一句なのですが、仏教では、私たちが目指す境地を 「月」 に、そこを指し示す方法論である教理や経典を 「指」 に喩えます。

多くの仏教の師は、その境地を伝えたくて様々な経典を書き、そして説法を説いてきた、それが 「月を示す指」 なのです。

ところが、多くの人がその指ばかりに囚われてしまい、例えばですが、その指の曲げ具合は間違っているとか、この流派では人差し指ではなく中指を使うとか、そういった指に関する議論でごちゃごちゃしてしまい、あれは間違っているとか、これが正しいとかいうことになったりします。


恐らく、仏教にしてもヨーガにしても、同じ 「月」 を指差しているんだと思います。


だから、いろんな「指」を見つつ、自分自身で月を指差し、そして月を見ることが大切なんじゃないかなと思うわけなのです。


フェスタ終了後、パシフィコ横浜の会議室にて、某YOGA専門誌の取材で、陰ヨガの第一人者であるポール先生と対談させていただく機会がありました。

その対談の中で、ポール先生は「誰々は自分の生徒だ」という言い方は好きではない、とおっしゃっていました。

その人は、自分から何かしらヨーガの極一部のものを学んだだけであり、それだけで自分の生徒という呼び方はしたくないと言われるのです。


ポール先生はまた、トレーニングの際に次のようなことも言われていました。

陰ヨガというのはスタイルの名前ではなく、アーサナのとり方の特徴を表した言葉。ぜひ自分の中で実践し、自分の陰ヨガを伝えてくださいと。


素晴らしい考え方だと思います。


様々なスタイルのヨーガが生まれ、そして進化を遂げている昨今。

どうか私たちは、どのスタイルが優れているとか劣っているとか、同じスタイルでもこの考え方が正しいとか間違っているとか、そういった議論から抜け出し、そして自分が良いと思う以外のスタイルを否定することなく、その素敵な部分を自分の中に取り入れ、自分のヨーガを深め、共に月を目指していければと思っています。


最後になりましたが、ポール先生のトレーニングにお越しいただいた方、そしてヨガフェスタやヨガエイドにお越しいただいた方、スタッフ、関係者すべてに感謝の気持ちを込めて。


ありがとうございました!


そして今度の十五夜に、素敵なお月様が見れますように!


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