ONE PIECE
桜散るこの季節。と書くと何だか聞こえが悪いですね。
四月も下旬。
ここに来て、ようやく「春うらら」な雰囲気が漂ってきましたが、そんな麗らかな気候とは裏腹に、私の方はと言いますと、来月から始まるトレーニングの準備、またトレーニング本の執筆、併せて某新作DVDの準備なと、まさに「春の嵐」という今日この頃。
皆さまは、いかがな春をお過ごしでしょうか?
と書いているうちに、また寒波がやってきましたが。。。
毎年春はトレーニングの仕込み時期となるのですが、実はそのトレーニングで毎回「裏テキスト」として冗談半分に必ず読みましょう!と指定している書籍があります。
ONE PIECE(集英社) 尾田栄一郎著
今もなお日本記録を更新中、国内の累計発行部数 1億8500万部を超す圧倒的な人気、まさに日本一の単行本「ONE PIECE」。
何分コミックなものですから、ご存知でない方はよく「子供が読む漫画でしょ」と言うのですが、老若男女、人種を問わず、心の底から強くお勧めできる一冊、ではなく現57巻シリーズです。
私なんかはとうとう度が過ぎてしまい、多くの皆さまに読んでいただきたく、スタジオの3Fロビーに設置してしまったのですが、なんで漫画?なんでワンピースなの?って思われる方が大多数かと思いますので、このコラムにて少しご紹介を。
ひと言で見事に言い切ってしまいますと、私の中では完全に ONE PIECE=YOGA なんです。
著者の尾田先生が聞くと「いやっ勝手にYOGAにしないでくれッ」と激しくツッコミが入りそうで大変申し訳ないのですが、私の中では、もはや完全にそうなってしまっているのです。
まずタイトルからしてそうなんです。
「YOGA」という語はご存知「繋ぐ」という意味のサンスクリット語。
一方「ONE PIECE」は「ひと繋がりのもの」という意味を持つ英語。
いきなり私の勝手な解釈で結論付けてしまうと、次のようなことになります。
私たちはYOGA(繋ぐ練習)を通して心の中に「繋り」を育み、それが完成したときONE PIECE(ひと繋がり)になる。
もう少しだけインド哲学風に言えば、私たちはそもそもONE PIECE(ひと繋がり)であって、それに気づくためにYOGA(繋ぐ練習)を行なっている。
かなり強引で意味不明に聞こえたかと思いますので、ひとまず冷静になって辞書を引いてみました。
大辞泉によりますと、ONE PIECEとは「上着とスカートとが一続きになった女性・子供服」とあります。
。。。。。(間)。
まさにYOGAの世界観じゃありませんか!
ついに綿本、頭がおかしくなったかと思っていらっしゃると思いますが、これがワンピースじゃなくて、ツーピースだったらどうですか?
上着とスカートが別々のものだったとして、さてスカートが破れてボロボロになったので捨てられちゃったとしましょう。
上着の方は、破れたのが自分じゃなくて良かったと安心したかも知れませんし、自分の方が上にあって良かったわと優越感を持つかも知れません。
そもそも上着は喋れないし、思考しないでしょって、そういう問題じゃなくて、私たちの普段の思考パターンがそうだってことを言いたいんです。
繋がっていない。だから自分と誰かを比較したり、否定したり、馬鹿にしたり、奪い合ったり、傷付け合ったりしてしまう。
でも、もし上着とスカートが、ひと繋がりだったらどうでしょう。
そう、一心同体、運命共同体です。
スカート部分が破れましたよ、さて上着部分は喜びますか?
破れたのはスカートの”部分”であって、自分の”部分”じゃなくて良かったと安心しますか?
たぶんしないですよね。だって「ひと繋がり」なわけですから。
私の中では、そんな「繋がり」の心を養うこと、それこそがYOGAの本質なんです。
大辞泉では、ONE PIECEの二つ目の意味を次のように説明します。
「全体が一つの部分でできているもの」
みんな繋がっていて、自分はその一部分に過ぎない。
上着とスカートのように、そこにはそれぞれ、その部分だからこそ担えるものがあり、果たせるものがある。
裏を返せば、自分ひとりだけでは、できないことがたくさんあるし、欠けてるところが一杯あって、何ひとつ一人前にできやしない。
そもそもそれが人ってものなのに、あまりにその自分が、その1ピースがちっぽけなもんだから、時として他人と比較して欠けていることを嘆いたり、目を背けてみたり、他人のそれを奪おうとしてみたり、傷付けてみたり。。。
そうじゃなくて、繋がっている。
その繋がり、絆を自覚することで、認めてみることで、信じてみることで、きっと生きることはもっともっと楽になるし、何か為そうという気持ちもたくさん湧き出てくるはず。
私たちは全体の中の1ピース。
それらを繋げていく作業、繋がりを再確認していく方法がYOGAなんだと思うのです。
マットの上で、アーサナの完成に情熱を注ぎ込むこと。
それはそれで大いに結構だと思います。
ただ同時に私は、マットの外に生かすYOGAも、とっても大切なものだと思っています。
でも!
かく言う私なんかも気が遠くなるくらい未熟者なわけで、マットの上でYOGAモードになっている時にはそれがそれなりにできているかも知れない。あるいは、こんな文章を書いてYOGAのことを熱く語っているときも、少しはできているかも知れない。
でも日常生活の中では?と聞かれると、これがなかなか難しい。。
だから私は、自分の生き様を皆さまにお手本としてお見せできない代わりに、マットの外でYOGAができているルフィという主人公を、ひとつの完成モデルとしてご紹介したく、ONE PIECEを強く勧めてしまうわけなのです。
彼が仲間に対してどういう想いを抱き、それを受けた仲間たちがどう変わっていくのか。
その有り様はまさに、「繋がりの心を内側に育むと、外側の世界がどう変わるのか」という、YOGAの行く末を見事に描ききっているように思います。
ルフィが生きているのは漫画の世界ですが、それを読む私たちの心の中にも、彼の仲間たちと同じような気持ちが芽生え、そして繋がりが育くまれていく。
何よりも日本一の発行部数が、それを物語っているのでしょう。
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
読み終えた後もしばらくは、その状態が続いているあたりなんかもYOGAそっくりなわけで、ぜひぜひ騙されたと思って、一度お読みいただければと思います。
海賊の冒険劇ですが。。
今日締め切りの業務リストを見つめながらも、無償にONE PIECEを読み返したい衝動に駆られている綿本でした。。
Om Shanti