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綿本ヨーガスタジオ提供 YOGA.jp - ヨガ・瞑想を知るホームページ

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プロフェッショナル

 

暮らしの中のヨガ哲学

晴れ 後 雨。

そんな先の週末に、いよいよ私にとって年に1度の大イベント、指導者トレーニングが始まりました。
この講座、その名の通り「YOGAのプロフェッショナル」を育成するためのプログラムなのですが、すべての講義を私こと綿本が一人で担当しているため、毎回終わると頬がゲッソリ。

ではあるのですが、半端でない時間をYOGAと共に過ごし、そして半端なく集中される受講生の方々と共に過ごすため、私の人生の中で最もYOGA的で充実したひととき。

大げさではなく毎回、命を削る覚悟で望んでいます。


プロフェッショナルの育成。


ちょうどその2週間ほど時を遡った日曜の午後。

「プロフェッショナル」というものについて、その何たるやを目の当たりにする機会がありました。


場所は ディズニーリゾート内にある、シルク・ドゥ・ソレイユ・シアター。既に多くの方がご覧になっていると思いますが、遅まきながらこの綿本、「ZED」というショーを観て参りました。


大きなくくりで言えば「サーカス」の範疇に入るのでしょうか。

そういったものを直で観たのは、確か小学生の頃に家族で観た「木下大サーカス」以来。当時の私にって、それはとても衝撃的な出来事で、原稿用紙10枚を超える大作を作文にして書き残したことを鮮明に覚えています。

何を書いたかは微塵も覚えていませんが。。


時を経て2010年。

人としての動きの限界とその難しさを知っている(つもりの)今の私にとって、目の前で繰り広げられる彼らの動きがいかに「あり得ない」ことなのか、私の頭の中にある限界を遥かに越えるその動きの連続で、冒頭から鳥肌かつ涙腺緩みまくりで、終演後には風呂上りのようなさっぱりとした感覚で、つるんと着席している綿本がいました。


人って、ここまでできるんだ。。。


二歩進んでは三歩下がり、牛歩以上にちんたらのんびり歩んでいる己のYoga修行を省みつつ、人というものの能力を、改めて見直したくなる出来事。

そして、普段の生活の中で時おり感じる、究極の瞑想の境地なんて、人としてたどり着けないんじゃないかなという思いを、ヴィジュアルで否定してくれるようなひと時でした。


プロフェッショナル。。。


それぞれの道には、必ずその道のプロフェッショナル達がいます。

彼らはその場に己の根っこをしっかり落とし、そこを自分の居場所としてひたすら同じ場所を掘り続け、分を知ってそれを果たし、日々頑なにその道を深めていく。


恐らくどの道を選んだとしても、深めるほどに険しさは増し、それらを乗り越える尋常でない精神力が要求されるはず。そして、それを深めてきたという過去のカルマ(業)は、その人のどの瞬間を切ったとしても、その一瞬一瞬にすべてが凝縮され周囲に伝わっていくもの。


あり得ない動きの一瞬一瞬に、失敗や挫折、そして克服や喜びといったカルマが凝縮されていて、そんなそれぞれの思いや歴史が私の涙腺を刺激したんだと思います。


もう3年ほど前になりますが、同じシルク・ドゥ・ソレイユのショーである「キダム」のアーティストと、米国で一緒にYOGAトレーニングを受講していたことがありました。

彼女は取り立ててアクロバティックなポーズを披露した訳ではなかったのですが、その佇まいや空気感、そして表情すべてにそういったものが滲み出ていた気がします。


とても強く、それでいた柔やかで、ぶれない芯。


一夜漬けで覚えた英語の表現で、たどたどしくポーズ誘導する私の指導練習を、他でもない彼女が褒めてくれたことは本当に嬉しく、とても有り難かったことを今でも覚えています。


話は戻りまして、その芯は彼女だけのものでなく、シルク・ドゥ・ソレイユというエンターテイメント集団、全体に行き渡っている気がします。


サーカスというと、一つひとつの演目が順に行なわれ、一つひとつ凄かったね、全部見て楽しかったね、という感じのものかなと思うのですが、彼らのショーにはどうも全体を通して貫かれたテーマがあり、全体が一繋がりになっている感じが伝わってくるのです。

また今月もOne Pieceの話しかよと思われるかも知れませんが、すみません、図星です。。


バラバラのものを単に寄せ集めただけではなく、それらが一つの思想や哲学で串刺しにされ、有機的に結びついている。


私の中で、その代名詞と言えるものがディズニーランドであり、なるほどパートナーシップを結ぶだけあるなぁと納得しつつも、そんなことを書いていて勝手にまた鳥肌。

単にジェットコースターやメリーゴーランドなんかが寄せ集められた遊園地とは違う。

また単にとってつけたテーマの元に寄せ集められたアトラクションがひしめき合うテーマパークとは違う。

そのすべてが一繋がりになっていて、どの部分を切っても、そこには一貫した哲学や思想が織り込まれていて、そこにいる人々をすっぽりと包み込んでくれている。


一繋がりになっていて、それが共通の「何か」で貫かれている。

そして、そこにある一つひとつの部分が分を担っていて、それを究極にまで果たそうとするプロフェッショナル達がいる。


人はそんな世界に惹かれるんだなぁと、改めて実感することができたひと時でした。



今年も始まった指導者トレーニング。

私はYOGAという道のプロフェッショナルを、寄せ集めの講義で育成するのではなく、ディズニーやシルク・ドゥ・ソレイユには到底及ばないにせよ、自らが寄せるYOGAというものへの思いや築いた思想を、200時間の全体に行き渡らせながら一繋がりにし、どの部分を切っても一貫したものを感じ、それぞれの講座が一つの分を担い、それらを通して一繋がりのものを感じ取っていってもらえたらなぁ、と改めて思うのでありました。


なので私は自分のトレーニングを「劇場型のトレーニング」と呼んでいる訳なのですが、
さておきまして。


トレーニングに限らず、そんな劇場型YOGAが、少しでも多くの方々のそんな繋がりを育んでいただけたらと思います。


皆さまの心が明日も五月晴れますように!


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