本文の開始

綿本ヨーガスタジオ提供 YOGA.jp - ヨガ・瞑想を知るホームページ

綿本彰によるヨガ解説・瞑想解説。メディテーション、マインドフルネス、ヨガ哲学、インド哲学、理論解説、用語解説、無料情報提供ページです。

地球温暖化とダイエット

 

暮らしの中のヨガ哲学

いよいよ2007年の幕が明け、「今年こそはこれをやろう」などと年初にすべき諸々を整理していましたら、気がつけばもはや月末。今年は暖冬で、1月の味わいも少し希薄ではありましたが、そんな実感からか、私こと綿本、近ごろ地球温暖化のニュースが妙に気になっております。地球温暖化と言いますと、先週あたりからよく耳にするのが、日本では先日封切りされた、元米国副大統領のアル・ゴア氏が出演する「不都合な真実」。また昨年、動物カメラマンの岩合光昭氏が発表した「地球温暖化の目撃者」とあわせ、ごく普通のニュース番組で地球温暖化の話題を耳にすると、いよいよ地球も危ない状態になってきたなと痛感したりしています。

そんなわけで、今回はこの地球温暖化問題をヨーガ的な観点で捉えてみたいと思います。


そこでまず、実に不謹慎かも知れませんが、引き合いに出したいのが「ダイエット」。これはヨーガ的な観点というよりは一般論なのですが、私は地球温暖化を助長する心理と、ダイエットに成功しない心理は、極めて近いものがあると感じています。目先の心地よさ、気持ちよさ、便利さに流されて、少し未来の自分(または地球や子供たち)の不都合を軽視してしまっている、という共通点です。

これらの問題を改善するにはどうすれば良いのか。このあたりからがヨーガ的なのですが、未来のことを思えばこそ、未来ではなく「今この瞬間」を感じてみることが大切なのではないかと思っています。私は地球温暖化についてはずぶの素人なのですが、ダイエットについては色々と研究をしてきたつもりで、単刀直入にその結論を申しますと、「いかに身体にいいものを必要な量だけ食べ、適量に身体を動かすか」がダイエットの真髄だと思っています。ただ、私の中でその事実はあまり重要ではありません。むしろ大切なのは「それをいかに実践」するかの方だと思っています。実践さえできれば簡単に痩せられる。誰もがそう分かっているのに、なぜか実践できない。私は、そのできない原因が、未来の自分を考えていないから、ではなく、今本当の自分の感覚に目を向けることができていないからだと思っています。


私たちが必要以上に食べてしまうのは、まやかしの食欲が存在するからに他なりません。その多くは、人間関係や仕事面などで思うように事が進まないことの「代替欲求」として、最も手軽に満足感の得られる(=欲求を完了することができる)「食」に矛先がすり替わってしまうことによるもの。その上乗せされた食欲に流され、ついつい必要以上に食べてしまった結果が肥満です。もちろん他にも色々な原因は考えられるでしょうが、これはとても大きな原因のひとつです。

そこで私は「もっと将来の自分のことを考えて」ではなく、目先よりもさらに目先である「今この瞬間に目を向けてみて」ということをお伝えしたいのです。つまり瞑想です。今この瞬間に意識を向け、自分に問いかけてみるわけです。本当に自分はいまこのケーキを欲しているのか。残念ながら、YESの場合は仕方ありませんが、ただ、ヨーガの実践を重ね、自分の身体の繊細な感覚に意識を向けるトレーニングをしていると、それが本当の食欲なのか、それともすり替わったり習慣化したことによるウソの食欲なのかを見極めることができ、本当は満腹である自分を取り戻すことができるようになるのです。シンプルに言えば、瞑想が正常な食欲を取り戻してくれるというわけです。


確かに、このケースをそのまま地球温暖化に当てはめるのは無理があります。ただ、普段は意識していないだけで、実はとても身近なところに私たちができることはたくさんあるはずです。不必要な電気を消したり、ストーブやエアコンの加減を調整したり、アイドリングストップ、または車をやめて電車を利用したり、ゴミを減らしたり。あるいは、無駄なCo2削減のため、呼吸法を使って呼吸量を減らしてみたり。最後は半分冗談ですが、いずれにしても、ダイエット中、ついついケーキに手を出してしまいそうになったとき、10秒だけ目を閉じて「自分は本当にそれを欲しているのか」を感じてみるのと同じように、地球温暖化を助長する目先の欲を優先しそうになったとき、少しだけ目を閉じて今それが自分がとるべき行動なのか、それを本当に欲しているのか、自分に問い合わせしてみるのもいいかも知れません。


ヨーガを通して、自分の未来にも地球の未来にもいいこと。共にしていけるといいですね。


ページの終了